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地域活性化への提言・NEWS
            
都市農村交流による地域づくり
1.研究の背景

 宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町は九州のまん中地域に位置し、大分県、熊本県、宮崎県の県際市町村との交流を深め、観光では九州どまん中観光協議会(大分県4市町、熊本県9町村、宮崎県2町の計15市町村で構成)で活発に活動している。
 昭和61年から宮崎県民生協との産直取引を機に生産者と消費者間でふるさと交流が始まり、生協・JA・町が共同で三ヶ所地区に整備した宿泊施設「ふれあいの里」(ふれあいの里管理組合)を拠点に「田植えツアー」や「稲刈りツアー」等の体験交流や生産者が消費地に出向く年末の「しめ縄交流」等様々な事業を展開してきた。
 そして、平成5年に農林水産省の「グリーン・ツーリズム モデル整備構想等策定市町村」の指定を受け、町内で討議を重ね、中核拠点地域として桑野内地区を選定した。桑野内地区では「夕日の里づくり」運動として、体験イベント部会と特産品郷土料理部会を立ち上げ、福岡県民を対象とした「夕日の里ふるさと体験交流ツアー」と夕焼けをバックに開催される「夕陽の里フェスタin五ヶ瀬」を中心に、都市との交流を深めてきた。郷土料理の「地鶏のバーベキュー」や「にしめ」等に舌鼓を打ちながら交流している姿は「里帰り交流」として「第2のふるさと」を求める都市住民に受け入れられている。特産品も「椎茸の辛子漬け」「なすの辛子漬け」等地元産の椎茸やなすを使い好評である。
 そこに、五ヶ瀬ワイナリー建設構想が持ち上がり、どのように取り組んでいくか検討が始まった。
 
       
           
2.研究の目的(実験の狙い)
 
 平成6年から7年間検討・推進してきたグリーン・ツーリズム事業(夕日の里づくりとして少人数でも良いから五ヶ瀬ファンをつくる活動)とワイナリーのための観光客誘致事業(観光バスで大量動員をする活動)との二者択一か、連携か、等推進する方向性を再検討する必要が出てきた。
 都市農村交流で全国的に行われていることは、都市住民に向けて「田舎体験をしませんか」「体験交流に参加しませんか」「特産品を定期的にお届けします」と、農村側からの呼びかけであり、それに応じた都市住民が観光目的に農村を訪れたり、農村の特産品を自宅に居ながら楽しめるという一方通行の交流である。農村側がすべて準備し、ある時は行政の支援(補助金)を仰ぎ、都市住民のために働くことである。
 桑野内地区では、地区農民の「双方向の交流を目指したい」「家族付き合いをしたい」「何度も交流したい」との気持ちを大切に、ワイナリーと連携しつつ、五ヶ瀬流の都市農村交流ができないか実験をすることになった。
  
     
3.五ヶ瀬流都市農村交流の実証実験
 
 桑野内地区の「夕日の里づくり推進会議」では、将来グリーン・ツーリズム拠点施設を建設する時のために、ソフト事業を立ち上げ、住民が来町者を満足させるおもてなしができるように準備に入った。基本的な考え方は、「何度も訪れてくれる人を大切にしよう」「五ヶ瀬を愛してくれる人のために役立とう」である。そして、誇れるものはないか、リピートしてもらえるにはどうしたら良いかを討議していった。地元の良さや宝物を探す「タウンウォッチング」、それに続く「ワークショップ」。やれることからスタートしようとの合言葉で、各々が役割分担を決め、個人がやること、地域でやること、役場に依頼しなければできないことに分け、改善提案を出し合った。活動の柱となっている「夕日の里ふるさと体験交流ツアー」の受入家庭の拡大と受け入れ研修会の徹底。川遊び、ヤマメのつかみ取り、バーベキュー交流(ホームシテイ対面式、コンニャクづくり、農家でごろり)、彫刻シンポジウム参加、特産品販売、そうめん流し等、参加者が疲れないように、のんびり過ごせるように里帰りプログラムに工夫した。「夕陽の里フェスタin五ヶ瀬」の手づくりの魅力付けと地元の産業のPR。ステージでの郷土芸能(神楽、太鼓、団七踊り等)、特産品試食・販売、桑野内の昔料理等の「四季御膳」の制作・展示、銘茶「五ヶ瀬みどり」の野点等を実施する。「もっと五ヶ瀬を」「もっと桑野内を」「もっと交流を」と推進することになった。
 そこで、メインターゲットである福岡県民に向けて情報発信をすることになった。そのために活動拠点が必要であり、五ヶ瀬ファンクラブ(五ヶ瀬応援団)を設置することになった。場所を設定するのではなく、情報発信する人を配置していった。五ヶ瀬町出身者ではなく、五ヶ瀬町を訪れたことのある人、五ヶ瀬町ファンが構成する「五ヶ瀬町夕日の里ふくおか町人会」(平成13年3月現在会員150名)が平成13年1月に結成された。会長には五ヶ瀬町に登山に訪れていた福岡県小郡市在住の井村雄二郎氏が就任。井村氏は「『お帰りなさい ふるさと五ヶ瀬で心のやすらぎを』というキャッチフレーズが良い。家族として迎えてもらえる所は他にない。どこももてなし過ぎ。遠慮しながらだから疲れる。やすらぎを求めて来ているのだから。緑と川と山の生き物そして人情あふれる五ヶ瀬の人がいるから来ます」「五ヶ瀬が好きだから」と笑顔で話されていた。
 PR活動も「人情 山水 四季 五ヶ瀬」をキャッチフレーズに福岡を中心に展開している。物産展や観光キャンペーンに五ヶ瀬町として、広域観光キャラバン隊として参加している。

  
       
4.結果(効果)と考察
             
 交流人口との交流により、農業の新たな流通体制やシステムの構築を図り、平成9年より「ぶどう栽培」という新たな農業技術の導入を図り、平成7年から始まった「地鶏料理の研究」による地鶏の生産(五ヶ瀬の卵は契約栽培により福岡市の石村萬成堂から「五ヶ瀬プリン」等として販売されているや高冷地(平均標高620m/日本最南端のスキー場・五ヶ瀬ハイランドスキー場や400種以上の貴重な高山植物がある)の寒暖の差を活かした花(カーネーションや菊)や高原野菜(特に夏秋野菜)の生産が活発に行われるようになり、江戸時代から生産されていた釜炒り茶「五ヶ瀬みどり」とともに地域の経済の発展に寄与している。
 さらに、交流の時に披露される「桑野内神楽」「古戸野神楽」や「団七踊り」「五ヶ瀬太鼓・流鼓」の郷土芸能の伝承により、老若男女問わず住民の郷土意識の向上を図っている。
 また、画家(興梠義孝氏:ハワイ在住の桑野内出身画家。2ヶ月間里帰りし、地元で制作活動と小学生向けの絵画教室を開催)や現代彫刻家(奥村羊一氏:平成9年より夏休み期間中約1ヶ月間、古戸野神社境内でオープン制作活動=夕日の里ふれあい彫刻シンポジウム。完成した彫刻ではなく、制作活動そのものが交流素材)が桑野内地区で地域に溶け込み制作活動している。
 このような地域文化の発展と都市農村交流活動に参画することにより地域住民に誇りと自信が生まれ、一層の地域の活性化につながっている。
   
 
5.今後の課題
  
 都市農村交流の成功の鍵は「人」である。人情豊かな五ヶ瀬人の育成が必要である。子供の頃から五ヶ瀬を愛するふるさと教育が大切である。神楽研修、昔遊び、歴史教育、そして、現在の五ヶ瀬の魅力教育を地元の人たちが率先して子供たちに触れながら教えていく必要がある。
 受入家庭の受け入れ研修(五ヶ瀬流おもてなし)をする必要がある。都市の住民が求める田舎暮らしと五ヶ瀬住民が与える五ヶ瀬暮らしの違いを理解してもらう活動が大切である。都市住民に媚びる必要は無い。
 現在、桑野内地区で展開しているグリーン・ツーリズムを全町へ拡大し、五ヶ瀬全体で五ヶ瀬町の将来像である「おかえりなさい 心のふるさと 五ヶ瀬町」「ユニバーサル・コミュニティ五ヶ瀬(注)」をいかに実現できるかである。そのためには、全町14区が連携し、五ヶ瀬町が一体化した五ヶ瀬型都市農村交流事業の確立およびその推進を図っていく必要がある。
(注)ユニバーサル・コミュニティーの概念は、年齢や性別、国籍、障害の有無
等の条件に関係なく、全ての人が快適に暮らせる共生のまちづくり。五ヶ瀬では快適で優しく母親の懐のような温かさと心地よさを感じる町になることを目指しています。
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