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地域活性化への提言・NEWS
            
  
1.はじめに

 
「売れる商品づくり」とか「消費者の顔の見える販売」「生産者の顔の見える特産品づくり」など様々な方法で地域特産品の生産・加工・販売を計画されているが、「買う」という発想が欠けているようである。生産者も買う側のケースも多くあるわけだから、「こんなもの買わない」「こういうものだったら買う」と自分なりに購入動機の基準を持っておられる。しかし、ご自分が生産・加工する場合、この「買う」というキーワードを忘れている。「売る」ことから「買う」ことへの気持ちの変革が必要である。「買っていただく」わけだから、「買う」側の気持ちで生産・加工することが肝要と思う。
 
           
2.地域特産品のマーケティング戦略には2つの方向がある
 
  1つは、自己の地域内に循環型市場を形成し、魅力の源に育成しようという考え方が、「多品種少量生産」を前提とした「地域内循環型市場の形成」を積極的・意図的に進めようというマーケティング戦略である。調べる?生産する?流通する?販売する?消費する?調べるというサイクル(円運動)を地域内で完結する「循環型市場形成」であり、その特産品は極めて素朴で、土の匂いのする地域内の産物であり、先人から受け継がれた手間を惜しまず愛情を込めた質の高い特産品を、地域を訪れる「交流人口」に提供する=交流人口を活用した市場形成のマーケティング戦略である。交流人口の増加と定着化を推進することが鍵である。グリーン・ツーリズムの考え方がその代表である。

各地に地域の物産館・直売所(多くは道の駅に併設されている)が建設され、地元の新鮮で安全な野菜や果物を中心に、地域特産品や加工品を地元住民や周辺の地域住民、交流人口に販売されているのがそれである。地域内循環型市場の形成の仕組みづくりが課題となっている地域が多いのも現実である。

2つ目は、特産品単品による「選考型市場形成」(地域内選考型市場?広域選考型市場?全国的選考型市場)のマーケティング戦略である。市場の成長に合わせて地域内の農家の原材料の生産量を順次増加していく方策を講ずると同時に、品質の確保・向上のための生産者意識の高揚、地元ブランドに対する自信を醸成し、産地化を推進する。農協が推進しているように、一つの戦略作物を選定し、地域一丸となって共選共販体制によって市場優位性のある特産品を市場に送り出すという、いわゆる「マスプロ&マスセール型」のマーケティング戦略である。

例として地域の土産品として全国区になった九州各県の代表は、「博多・辛子めんたいこ」「鹿児島・さつまあげ、かるかん」「大分・関サバ、関アジ」「熊本・からし蓮根、馬刺し、トーフのみそ漬」「長崎・カステラ、チャンポン」「佐賀・小城羊羹、丸芳露」「宮崎・冷や汁、地鶏、チキン南蛮」等があげられる。

地域特産品の販売戦略は、当初グリーン・ツーリズム等の地域内循環型の市場形成であり、あくまでも大市場(都市部)から交流人口を地元に呼び込み、地元で消費してもらう仕組みを構築することである。地元を良く知ってもらい、地場の味を堪能してもらわないと、市場商品として開発・販売してもファンはつかない。交流人口を引き付ける磁場づくり(磁石のように)すなわち、地域CIが大切なことがわかる。そのためには、特産品に対する地域の考え方を統一し、住民全員で売り出すことを考えなければならない。

まず、特産品(新鮮な野菜、果物、花卉類、畜産物、活魚などを含む)の生産体制と集出荷体制を整備し、「新鮮」「美味」「健康」「安全」「安心」「簡便」「廉価」な商品として、安定的に供給できる体制を整える必要がある。

 地元の物産館や直売所で特産品の売上を伸ばすには、定番商品である「新鮮とれたて野菜(キャベツ、白菜、ダイコン、ニンジン、ネギ)」(福岡都市圏の場合)に力を入れ、入口近くか軒先に陳列することである。当然切りの良い価格(100円、150円、200円)の設定が望まれるし、近隣の量販店より1割程度安く値付けするとなお良い。自家用車で来店されるケースが多く、重い味噌でも1kg?2kgは売れ筋で、5kg?10kgの買い溜め派まで存在するのが特徴である。(ちなみに、都市部では300g?500gが味噌の売れ筋)米は5kg?10kgが主流である。(都市部では2kg?5kg)

 さらに、交流人口を増やすには、地元で季節に合ったグルメと体験を中心としたイベントを創造し、農業と観光が一体となった地域施策として定着していくようにシステム化する必要があるは当然であるが、その地域がターゲットとする大都市圏へ絶えず情報発信していく必要もある。九州517市町村の地域特産品アンテナショップ・TNCふるさと一番館はテレビ番組と連動したアンテナショップとして、テストマーケティングやテスト販売として利用されている。

 農産品のイメージ(庭先野菜=農家の人が食べている安全で、健康に良い、新鮮な野菜)を利用した、販売を兼ねた情報発信事業は今後大都市の商店街や量販店での朝市やフェアとして活発になってくるものと予想される。

 したがって、地域では交流人口の増加を図りながら、自らの地域にその交流人口を顧客対象とした新たな市場を創造し、各種地場産業と連携・複合化を図りながら、農業の活性化を図る、と同時に、住む人々にも、訪れる人々にも快適な生活環境・生きがい体験を提供する環境を整備するための農業・農村CI運動の推進を目的に、地域内の各種交流拠点(物産館、観光施設、史跡、公園など)となる核・周辺市場(施設)を整備し、そこでのマーケティング活動を実施し、その活動が地域全体に波及効果を生み、地域全体の振興を図ることになる。さらに、相乗効果を図り、そのイメージを形成するために、地域の特産品(最初は特に庭先野菜)をマスプロ・マスセール型で都市部にマーケティング展開する図式が見えてくる。

     
3.市場は変化している
 
  域内市場と域外市場では消費者(生活者)の意識が異なり、ライフスタイルも当然異なる。域内市場で売れるようになり、地元の住民がまずファンになり、その人々の口コミで広がり、域内循環型市場の形成となる。そして、徐々に域外市場への拡大を目指す。段階を経た流通戦略をたてないと買ってもらえない。何故だろう?地域のイメージが売り込まれていないのが最大の原因である。その特産品の地域情報が伝わっていないために、その特産品の良さが理解してもらえないのである。

 農産品の加工品は味噌、漬物、ジャムの3点セットが多く、それ以上の開発が進んでいないのが現状である。(地域によってはジャムの替りにカリントウ、焼酎、アイスクリーム、団子、ドレッシング等が入る)しかし、ジャムを例にとると、域内ではジャム(200g)が500円?600円で売られているが、域外(スーパー)では250円以内でないと売れない。さらに、70gで150円というのが主流であろう。漬物も域内では500円でも売れるが、域外では200円以内でないと売れない。

 最大の要因は、購買者(主婦が8割)の意識である。域内では都市部の主婦が旅行気分で購入しており、興奮状態で土産品を選んでいる。域外では主婦は毎日の買い物として家計簿との相談で選択している。冷静である。したがって、域外では量販店の価格評価調査(比較対象商品の分析)が必要であり、ターゲット地区の家計支出調査が必要になってくる。ターゲット地区では、高菜漬は198円なのか、158円なのか、98円なのか、売れ筋を知っておかないと、域外戦略商品の開発ができないのである。

 地域特産品にとって追い風の今(デパートの贈答品は地域産品が50%の支持率であり、健康・安全志向は高まる一方である)都市部での地域特産品の販売においては、次の点を考慮する必要がある。

  • 45歳以上・工夫する(工夫世代)・・半製品が売れる
    35歳以下・選択する(選択世代)・・レンジ商品が売れる(調理済商品/レトルト、冷凍)
  • 個食化の時代・・・単位が1人前(トライアルサイズ、お試しサイズ→お得用)
  • 利便性(手抜き)・・・乾燥食品(お湯かけるだけ)・・・調理済、素材
  • 購入基準  経験・知っている・・・自動反応行動商品
          市場認知率60%以上を目指す・・・市場力10%以上となる
  • 情報発信方法(金かけずに)・・・売れるようにするためには
       ストーリーのある商品、シーン(場面)のある商品の開発
       美味しいドラマづくり、健康にこだわり、お金に変えるソフト
  • 大ヤング時代(気持ちは若い)
  • 無農薬無添加への思い 
       大豆調査  40代・・・国産大豆支持80%以上
                  有機大豆支持50%以上
       (現状は国産大豆供給率3%)・・・転作奨励
       50代、60代も同様、20代は反応せず
       一方、域内の物産館・直売所では次の点が求められている。
  • 消費者に求められている農産品、加工品の販売(域内販売の場合)
       健康、新鮮、美味(手作り、ふるさとの味)、安心、安全
       値ごろ感、簡単便利(簡便)
       デパートやスーパーにあるもの、青いトマトはいらない、売れない
  • 市の雰囲気に浸る環境づくり(値引交渉、生産者情報入手)
       神社の夜店の例(その場で調理、食べられないものはイベント化)
       私がこういうふうに作ったんです
    (こだわり、生産者の顔の見える農産品=責任販売/作る責任、売る責任、対面販売)
  • 消費者との交流による情報入手・消費者との接点づくり(生産に生かす)
       試食による味覚調査
       高い安いの評価基準
       容量の多い少ないの評価基準
       こんな食べ方ありますよ
      
      
4.工業化への進展
             
  域外市場へ売り込む商品をつくるためには工業化が必要である。価格を下げるためには原価を下げる必要がある。品質を一定に保つためには品質管理を徹底する必要がある。さらに、パッケージ・包装・値付けラベリング・衛生面を考慮した全自動化、レトルトや乾燥のための設備等工業化の必要性が叫ばれるようになっきた。特に、食品加工業からの技術移転問題は今後の課題として重要な位置づけとなろう。
   
 
5.売れる地場産品の付加価値化と地域戦略商品(特産品)化に向けて
  
  地域特産品開発の考え方としては、地場産品の流通対応としての地場産品の付加価値化を図る考え方と、地域の活性化にあわせた地域の独自性を打ち出した地域戦略商品(地域特産品)の開発の二通りが考えられる。
地場産品の付加価値化
地場産品の付加価値化は、第一次産業である農林水産業生産物の素材流通から、その生産物に付加価値を付けることによって、流通における優位性を図る。
地場産品、特にここでは農産物を例に取ると、農産物の有機栽培、1次加工、1.5次加工、2次加工等があげられる。
通常、地域における特産品開発は、ここでいう1.5次加工品(半製品食材等)、2次加工品
(商品)を考える場合が多いのが現状である。

★農産物の流通対応としての付加価値化商品開発の課題
  1. 有機栽培、1次加工品、1.5次加工品については、市場流通をはじめ、量販店等との直接取引(産直)の商品として優位性が図れる。
  2. 2次加工品については、民間企業との競合(年間4?5,000アイテムの新商品が開発され生き残るものは100アイテムをきる状況)が大きくなる。
  3. 流通企業との取引においては、品質をはじめ、量の確保や安定供給の必要性が生じ、生産体制の確立、加工場等の機械化、近代化等による効率化を図るための設備投資が大きくなる。
  4. 市場調査、消費者ニーズの把握、商品市場の把握、競合商品調査等商品に関するマーケティング事実の把握・整理および開発商品の流通特性、販売目標の設定、販売促進等のマーケティング戦略の展開が重要なポイントとなってくる。
  
   
地域戦略商品の開発
地域戦略商品(特産品)とは、
  • 「地域の素材」を使って、
  • 「地域の人(労働力)の手」によって、
  • 「その地域の独自の加工法または地域の独自性」をもち、
  • 「独自の付加価値」をつける
 ことによって産出された地場産品であることはいうまでもない。また、地域での採れたての新鮮な農産物、水産物、林産物など、新鮮なものをその地域内で提供する場合はそのまま地域の産物として人気のある商品となる。これら地域における特産品については、地域の独自性を打ち出し、地域活性化の重要な戦略商品として開発することが重要である。
  
 ☆何処にでもあるものではないものがほしい 希少性の期待
 ☆ここでしか手に入らないものがほしい 限定的販売の期待
 ☆その地域らしいものがほしい 地域アイデンティティ
 ☆好みにあったセンスの良いものがほしい ハイセンスの期待
 ☆まがいものでないものがほしい 本物の期待
 ☆販売価格はリーズナブルなものであってほしい  適正価格の期待
  
 特産品の開発に当たっては、地域の資源・素材を総点検することが望ましい。資源には地域の産品など目に見える資源と、歴史など目に見えない資源とがある。見えない資源は一見産品づくりには無関係なようでも、テーマづくり、ネーミング、パッケージなどを考えるうえで役立つものである。
 
 ☆見える資源 地域で採れる特徴的な素材、産物、人材、加工技術等
 ☆見えない資源 地域の歴史、文化、遺産、民話、伝説、気象、風土等
  
★地域戦略商品開発の課題
  1. 地域の活性化に寄与する戦略商品として、地域のイメージを十分に反映した商品とすることが重要となる。
  2. 大きな市場を対象としない。そのため多種少量生産体制となる。
  3. 地域の独自性を活かした商品として、交流人口を主体とした口コミによる流通。
  4. 地域の歴史資源、文化資源等からの発想による商品の場合、不足材料について新たな開発(新作目)が生まれる。
  
参考文献: 「分権時代の地域経営戦略」平野繁臣・松村廣一著、同友館
「高齢社会福祉と地域経営」小坂善治郎著、中央法規
「佐賀県杵島郡江北町特産品開発委員会資料」江北町商工会
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